誘いやすいみたい

マルチ商法や新興宗教の勧誘を、今まで数多受けてきた過去を持つ。今までの歴史を、勧誘の傾向と共に振り返る。

 

その1 知り合い商法

初めてされたムカつく勧誘…というか売りつけ?は、まだ10代の時のこと。今でも思い出すとちょっとイラっとする。

時たま、小さいライブハウスに、遊びに行っていた。出演者はまだインディーズデビューもしてないような人たち。

ライブ終わりに、バンドマンやそのお友達が、宣伝のビラとかデモテープを配ったりしていて、その日も出入り口でビラ配っていた。

私も受け取ろうとしたらよ、配ってた女がよ、「やだー、久しぶりー!元気だったー?」とか言いながら、ビラ渡してきたの。

一瞬。あれ、この人知り合いかな?って思ったんだけど、いや、知らねえ女だって、脳みそが答えを弾きだそうとする猶予も与えず、女ガンガン喋ってくる。

「今度、◯◯(バンド名)がどこどこでライブするんだけど、チケット持ってきたよー。それにしても元気だったー?」

すっごい親しげなマシンガントークに呆気に取られていたら、慌てたバンドマンが静止しにきた。そんで謝られた。そして女にお小言を言っていた。「ほんと、こういうのはやめて」と。そして気づいた。

あ、そういうこと。うわー、めっちゃムカつくー。

知り合いっぽい感じでこられたら、知らないって言えない、気弱な人ってこの世の中にはきっといる。強引に押せばイケると思われたもよう。なあなあな感じに持ち込み、チケット売りつけようとしていた。

幸いなことにこの知り合い商法は、そのバンドの総意ではなく、女の独断によるものだと判明したが、判明しなかったら、ふざけんなこのクソバンドってなるじゃん。当時全盛期だった2chあたりに書き込んじゃうかもしれないじゃん。絶対やめたほうがいいよね。

あのニヤついた甲高い女の声、今思い出してもめっちゃムカつく。

 

その2 新興宗教

具体的な団体名は出さないけど、別の場所で、別の人から、同じ宗教団体の勧誘を受けました。

当時はまだそこまで有名じゃなくて、某団体にとっても、まだまだこれから!みたいな時期だったのではないかと思う。でも若手女優が出家したことで超有名になったあそこです。

勧誘者との出会いは、2回とも短期契約の派遣先。

勧誘手法でいうと、1回目の人はすごい上手だったと思う。2回めの人は、もう爆走状態だったね。

1回目の人

普通に仲良くなった頃に、某宗教団体の信者であることをアッサリとカミングアウトしてきた。宗教への拒否感がない相手には、いちお配ってるのーと、冊子を渡される。以後、日常会話の中に、普通に信者ライフ話を盛り込んでくる。でも私、そういうの聞くの嫌いじゃない。

なんせ昔、私も某宗教団体に所属していた。

父を除く家族で入信しており、多分4年くらい在籍していたな。手かざし系のとこ。色々あって、すでに脱退している。今となっては、身内の中でもけっこうなネタ扱いである。

新興宗教の内部がどういう雰囲気なのかなんとなく知っていたし、ハマる人達がどういう人たちなのかもうっすら理解していた。

信者ライフを話すよりも、徐々に教義そのものについての話が増えていく。又聞きで超詳しくなった。でもうんうん聞いていた。すると、出たよあのワード。

「今度、一緒に行こうよ。」

しかし、あくまで控えめである。やんわり断れるトーンでのお誘い。なので断る。すると相手はすっと引いて、また信者ライフ話程度におさめはじめ、次第に教義を盛り込みはじめ、勧誘ワードを出し、の、リピートであった。

でもこれ、うまいやり方だよなって、冷静に思いました。種を撒いて、興味をこっちが抱くのをひたすら待つタイプ。こちらが興味を抱かなければ、それでオシマイ。荒技に持ち込まれることはなかったので、この団体にそこまで悪いイメージもない。

けどね、社内での宗教の勧誘って、服務規程違反だったりするんだよね。私に対してだけなら黙っていたけど、何人かに勧誘かけてたのでバレて、そのうち退社されてしまった。

 

2回目の人

この人は、最初からエンジン全開だった。誰に対しても勧誘活動していて、すごかった。社内で悪目立ちして、やっぱりすぐいなくなってしまったけど、まだ20代前半のお嬢さんでした。

退職日には、キャリーケースいっぱいに教団の本を持ってきて、職場の人全員に配ってから去っていきました。菓子折りではなく、教本。でも自腹でしょそれ。すごいよね。

 

その3 マルチ商法

宗教系の勧誘者には、まだなんつーか、ピュアさが垣間見えたんですよ。

でもマルチ系はあかんですよ。ホントむかついた。

マルチ野郎との大バトルは、ファミレスで4時間に渡った。もともとの勧誘者は、かつての友人なんだけど。

久しぶりに遊ぼう!って言われて出かけ、普通にご飯食べて普通に喋った後、頃合いを見図り、もう一人後からくるの。なんかギラギラした男が。

これが彼女の上に立つ親会員様なわけで、こやつの力を借りて、私という獲物を連携で狩ろうとする。まず座席の位置がよくない。男は正面、友達は私の隣で通路側。私窓側。逃さねぇぞっていう配置。察したこの瞬間、私と友人との間にあった友情は消滅した。相手にとって、もはや私はただのカモ。

しかし、おぬし、見くびったな。

一見、意志薄弱そうに見えて、こういう場を楽しめる変なメンタルをお持ち。そして見切った相手に対しては、わりと全部言えちゃうの。

最初は何も知らない風を装い、臨戦大勢を整えた。地元のサイゼリヤは狩場へと変貌を遂げていた。無事にハントが成功し私が入会すれば、友人も親となり、さらに友人の親である男にも金が入る仕組みなのだ。

で、このマルチ野郎の勧誘手口はけっこう面白かった。

マルチに肝心の、お金が儲かるよ!ってことよりも、友達ができるよ!仲間がたくさんできるよ!リア充になれるよ!こんなパーティーやってるんだよ!仲間達で海外にも行くんだよ!すごい俺ら、楽しそうでしょ☆仲間に入れば、一緒にいられるよ!だから仲間になろうよ!っていうことを、言い続けていた。約4時間。

それに合いの手を出しまくるかつての友人。一緒にもっと遊ぼうよ!って仕切りに言ってくる。

いや、別にいいし。

のらりくらいとかわしながら、話を聞き続けた。それでもYESと言わない私に、様々なリア充話をふってくる。そして野郎も疲れたのか、いいかげん君はどうしたいの?ばりに、話をふってきた。

「何がひっかかってるのかな?」

かつての友人をチラっと見つつ「その必死な感じがイヤです」と述べ、友人にも永遠の別れを告げた。

何がイヤって、この手法が成功するから使っているわけで、それだけ「仲間」が欲しい人が多いということだ。言葉を変えれば居場所かな。心の隙間をついてくる、とてもいやらしい手口だと思ったの。

拠り所がない、居場所がないと感じている人間は、それをくれようとする言葉に弱い。自己評価の低い人間は、肯定して受け入れてくれる相手に弱い。相手を見極めれば、きれいな1本釣りが勧誘者はできるのでしょう。それが本当に畜生だなと思ったんだよね。

そのような目で見られていたことにも腹が立つし、無駄に上から目線の口調にも腹が立つし、友達だと思っていたのにただのカモだし、もうなんかめちゃくちゃ。

 

歩く広告塔になればいいのに

勧誘するまでもなく、教えて教えてって、人が寄ってくることはないんですか。

その人に、ものすごく魅力があれば、耳を傾ける人はきっと多いと思うの。あやかりたいって人も多いと思うし、参考にしたいって人も出て来るんじゃないの。

まあ、あのマルチ野郎はダメだ。高価な装飾品見せびらかしても、その価値がわかる人間ばかりだと思うなよ。ブランドに疎い人間も、世の中にはいるんだぞ。

クロムハーツのアクセも、オメガの時計も、値段の相場は知らなくてな。高そうな横文字の車に乗ってると言われたって、当時のペーパードライバーには、ぜんぜんピンとこなくてな。

素直に羨ましがれなくてごめんなさいね。