選民意識からの優越感

子供の時、兄から言わせると実家はお化け屋敷であった。

私は霊感皆無のため、何もなかったが、それでもラップ音はよく聞いたし、厚みのある強化ガラスが内側から割れるのを弟と目撃した。

見えない存在に直接攻撃されていた兄だが、時期的に高校受験とかぶっていたため、幻覚幻聴の類として受験ノイローゼではないかと言われる。

普通に中3でわりと尖ってた男子が、一人では家にいられず、飼い犬を抱いて玄関口に座りこんでたら理由はなんであれヤバいと思う。そこまで追い詰められてる感じが。

そして我が両親は、ここで2択を迫られる。

オカルトを信じて霊能力者を頼るか、幻覚幻聴として精神病院につれていくか。

前者を選択。

ツテを頼り、お祓いができるという方にきていただいた。

それからは小説みたいな展開がまきおこる。結果的には何もでてこなかったが、すでに人生に期待していなかった当時の私の心は大きく動いた。

兄に訴えかけていた見えない人は、幽霊というよりは神様ではないけど一般的な幽霊よりは高位の存在であり、柘植の櫛を探してほしいという。

そこで大人たちは、重機をレンタルして、兄を通して、女が言ってた指定の場所を掘るっていう。

すごいよね。いや、すごいと思うわ。したことが。

あの時の大人たちは本気だったし、そこまでした大人たちはすごいと思った。本物であれ偽物であれ、一人の少年のことを信じていたし、助けようとする姿勢がそこにあった。

けっきょく櫛は見つけられなかったけど、石碑をつくった。現在は道祖神として、7体分の石碑が、実家近くの道路に陳列してある。もともと4つくらいはそこにあったんだけど、本当は7つあったはずなんですって。壊れてなくなってしまっていたのを、作り直しておいた感じ。

最初は実家だけが、お酒あげたり榊を立てたりしていたんだけど、今では近所の人たちも気づいた時に色々としてくれているのが見て取れるし、地域にちゃんと根付いている。

一番私が衝撃的だったのが、いちど道祖神を通過した車が、バックで戻ってきて路肩に停めて、トライバーが降りて手をあわせて立ち去ってたんですよね。

え、なんか見えたん?驚きました。

その後、兄も回復した。地域で一番の学校に行こうとしてたが、受験には落ちた。その後も更に尖っていき、音楽のプロとして今も生活している。

彼の家には立派な神棚があり、心霊現象も引き続き体験しているし、そういう人には体験談も集まってくる。私はそれを聞くのが楽しみである。野次馬。本当の心霊体験談って、オチがないことが多くて、それが実に怖い。

そう、そしてタイトルに戻る。

我が家を助けてくださった、霊能者さんはどうなっていったかである。なんと我々を助けてくださった数年後、宗教団体化して教祖になった。

我が家のことは気にかけてくださり、団体化した後も、普通に呼んでくれてお付き合いもあったんですが。団体の中の方々は、面白くないんですよね。お付きの人たちっていうのかな。

なんかすごかった。圧が。私達は幹部です!みたいなのが。

自然と足は遠のいていき、もうお付き合いも切れたんですけど、宗教団体も、トップの人は本当に力があったりピュアだったりするんじゃないかなって思うんだけど、続けていくのは大変なんだなって子供心に思った。

それくらい人間が人間だった。周りの人が。

お祓いしてくれた普通のおじさん。人のいいおじさんっていう認識で私達はいたけど、中にいる彼らにとっては超特別な人で、その人の近くに侍ることができる自分は選ばれしものみたいな感じであった。

集団化するって大変なことだ。運営していくのはもっと大変だと思う。

でもあのおじさんは、恩人である。今でも、道祖神みるたびに思うのですよ。

オカルトは好きだけど、実在する?って言われると、まあよく分からないよね。でもあの時に親が取った行動は正解だったと思うんですよね。

兄の性質を考えたら、精神病院連れて行ったら壊れてたと思うし。頭がおかしいんじゃないかって一番悩んでたのも彼だろうし、諸々を告白するのも勇気がいったんじゃないだろうか。

今では笑って話せるからね。

あの時は大変だったよね。ドラマみたいだったよね。すごかったんだよ!って、嫁ズに語る母。

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